北海道大学大学院医学研究院 専門医学系部門 機能再生医学分野 整形外科学教室
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当教室の基礎研究の主要テーマは、1)運動器組織再生、2)変形性関節症や椎間板変性の病因解明および予防的治療法の開発、3)骨代謝性疾患の病態解明および骨の治癒促進に関する研究、4)関節リウマチの病因に関する研究、5)骨軟部腫瘍に対する遺伝子学的アプローチなどです。特に1から4のテーマに関しては、糖鎖及び糖鎖関連分子に着目し糖鎖生物学的手法を用いたオリジナリティーの高い研究を行っている。基本的には卒後3年目以上の医局員でこれらのテーマの研究を希望するものが大学院に進学し、当教室および学内の関連研究施設にて研究を行い、学位取得を目指している。研究は主に北海道大学北キャンパス次世代ポストゲノム棟整形外科基礎研究室で行われ、隣接する創成科学研究機構の最新設備を利用することで効率的かつレベルの高い研究を行っている。さらなる研究の発展が見込まれる場合には、海外の研究機関への留学も積極的に奨励している。

医学部出身者以外の方でも、以上の研究に興味のある研究者を歓迎します。一緒にレベルの高い研究を行っていきましょう!

当教室の研究に興味がある方は整形外科教室 高畑(takamasa@med.hokudai.ac.jp)までご連絡ください。

 

各テーマの具体的内容は以下のとおりである。

1)運動器組織再生医学

整形外科領域の組織再生において、最も重要な要素は細胞が適切に分化・増殖し体内で機能するための足場(scaffold)であると考え、独自のscaffoldを開発し、これを用いた軟骨、靭帯・腱などの運動器組織再生に関する研究を行っている。独自性は、天然素材を高純度化させることで細胞毒性を限りなく減らしたマテリアルを開発したことにある。また独自の高純度マテリアルに運動器組織中に存在する細胞外マトリックス成分や、細胞接着因子・成長因子などのタンパクを導入することにより、生体活性を持たせることを可能としている。このため、各組織・細胞に適した環境を作り出すことが可能となり、優れた組織再生を可能としている。特に、糖鎖工学的手法を用いたscaffoldマテリアルの作製は、本研究領域の第一人者である北海道大学大学院理学研究科 西村紳一郎教授との共同研究により、きわめて斬新なプロジェクトが進行中である。本テーマに関しては、現在多くの論文が国際ジャーナルにアクセプトされ、scaffoldに関する国際特許も複数個所有している。

 

 

 

2)変形性関節症や椎間板変性の病因解明および予防的治療法の開発

変形性関節症および椎間板変性は、整形外科領域における代表的な疾患であり、その病因解明や治療法開発には大きな需要がある。軟骨変性については、北海道大学大学院理学研究科西村紳一郎教授の研究グループと共同研究を進めており、変性進行に関与する糖鎖の同定に成功している。また、山下匡教授(麻布大学)との共同研究により、細胞膜スフィンゴ糖脂質が軟骨の恒常性維持に重要であることを遺伝子改変マウスを用いて証明した。酪農学園大学など他施設と共同で臨床応用を見据えた大動物によるトランスレーショナルリサーチを行うことにより、研究成果の早期臨床応用を目指している。 椎間板変性については、アポトーシス関連遺伝子サイレンシングによる変性進行抑制治療法の開発を行っている。

 

 

3)骨代謝性疾患の病態解明および骨の治癒促進に関する研究

続発性骨粗鬆症による骨脆弱性の病態に関する研究を千歳科学技術大学および北海道大学歯学研究科、工学研究院と共同で行っている。

関節リウマチやステロイド剤による骨質異常が、骨の力学的特性をどのように変化させるかについて調査を進めている。

また、糖鎖および糖鎖受容体を介した破骨細胞の分化、活性化制御機構に関する研究にも取り組んでおり、シアル酸認識免疫受容体であるシグレックが破骨細胞分化に重要な役割を果たしていることを世界に先駆けて報告した。

現在、シグレックの病的意義について研究を進めている。種々の骨代謝改善薬が移植骨の治癒過程に対してどのような影響を与えるのかについて、ラット前臨床動物モデルを用いて研究を行っている。骨移植手術を必要とする高齢骨粗鬆症患者に対する骨代謝改善薬使用法の根拠の作成を目指している。

 

 

 

 

 

4)関節リウマチの病因に関する研究

関節リウマチは様々な因子によって引き起こされる疾患であり、分子生物学的アプローチによる多くの研究によって、近年、抗TNF-α抗体をはじめとする分子標的薬が次々に開発されている。これらの薬剤が関節リウマチ治療を飛躍的に改善したものの、完全寛解の獲得までにはいまだ多くの問題が残されている。新規標的分子として細胞外マトリックスタンパク質に着目し、北海道大学大学院医学研究科遺伝子制御学分野 上出利光教授との共同研究を進めており、これまでリウマチ患者の滑膜線維芽細胞・滑膜マクロファージにおいて、テネイシンCやオステオポンチンとそれらの受容体α9β1インテグリンの相互作用が炎症惹起に密接に関与することを報告している。さらに遺伝子欠損マウスを用いたヘパラン硫酸プロテオグリカンであるシンデカン4の機能解析から、胚中心形成を介した自己抗体産生におけるBリンパ球の制御機構の研究も行っている。

5)骨軟部腫瘍に対する遺伝子学的アプローチ

骨・軟部腫瘍におけるがん関連遺伝子の同定およびそれに基づく遺伝子導入療法による腫瘍細胞活動性制御に関する研究を本学大学院の病理学講座腫瘍病理学分野田中伸哉教授と連携のもと行っている。腫瘍の新たな分子生物学的マーカーや、分子標的治療薬のターゲットとしての同遺伝子の有用性を確立する事が本研究の目的である。これまでに滑膜肉腫の腫瘍細胞株、臨床検体を用いて、RT-PCRによるcDNAの発現機能解析や特異的なキメラ融合遺伝子であるSS18-SSXをがん細胞以外の細胞に導入し、滑膜肉腫のoriginの検索、また特異的キナーゼ阻害剤を用いた新規分子標的治療の確立など、多数の成果を挙げており、また世界に発信してきた。以下に現在進行中であるがん関連microRNAのprojectの一例を挙げる。

 

図

 

上図はあるがん関連遺伝子であるmiR-Xを、滑膜肉腫腫瘍細胞株(Fuji,HS-SYII)で過剰発現させた時の細胞増殖能を示している。親株(wildtype)よりもmiR-Xを過剰発現させた株の方で細胞増殖能が有意に上昇する事が分かった。よって、miR-Xは滑膜肉腫の分子生物学的マーカーや分子標的治療のターゲットとなり得る事が示唆された。上記は一例であるが、他にも抗がん剤耐性のメカニズムの解析や、がん拠点病院の実際の臨床検体を用い、臨床予後との相関解析を行うなど、幅広い分野でのprojectが現在進行中である。

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