研究と業績
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臨床研究部門

スポーツ班

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研究紹介

フィールドワークを実践しながらスポーツ現場に貢献し、スポーツ愛好家からアスリートまで、年齢やレベルを問わず、幅広い選手に対するスポーツ活動の継続を目指した診療を行っております。関節鏡視下手術を中心とした低侵襲治療を行い、また、先端的治療の開発を行っております。競技スポーツから生涯スポーツにわたる関節障害を対象に、靱帯再建術、下肢矯正術や軟骨再生治療などの関節温存手術の先進的技術を積極的に取り入れた治療および臨床研究を推進しています。



1.膝靱帯再建術

膝前十字靱帯(ACL)は、断裂すると膝不安定性のためスポーツの継続が困難となります。スポーツ診療班では、高い力学的強度を有する膝屈筋腱ハイブリッド代用材料を開発し、世界に先駆けて関節鏡視下解剖学的2束ACL再建術を開発しました。更に早期のスポーツおよび社会復帰を目指して、移植腱の機能と回復過程の速度を改善できる可能性がある遺残組織を温存した再建術を開発してきました。これらの成果は、高い評価を得て「ACL再建術に関する最も引用されたTOP 100論文」では、北海道大学は世界で第2位の施設になっています。

膝靱帯再建術




2.下肢矯正術

変形性膝関節症は国内で約2500万人が罹患し、高齢者社会の加速と共に更にその数は増えています。重症化した場合には人工関節置換術が行われていますが、重労働やスポーツ復帰は困難です。下肢矯正術(膝周囲骨切り術)の特徴は、関節温存ができる点にあり、これにより関節の動きも温存され、重労働やスポーツへの復帰も可能です。スポーツ診療班では、独自の逆V字型矯正術を開発してきました。これは、矯正を行う支点が変形中心と近いため、最小の侵襲で大きな矯正が可能であり変形が少ない利点があります。更に様々な基礎および臨床研究を行い、日本人の骨形態を考慮した形状を有する様々なプレートを企業と共に共同開発しています。本システムは、生体工学的研究に基づいたインプラントデザインとロッキングスクリューの採用による高い安全性と安定性を実現しました。

下肢矯正術




3.軟骨再生治療

関節の軟骨は、関節にかかる重さを分散させる作用と潤滑作用を有し、長期間にわたって滑らかに動かすことができます。しかし、血管等がないために修復能に乏しい組織であり、再生させることが難しい組織でした。本邦で許可されている「自家培養軟骨移植」の適応は、外傷性軟骨欠損および離断性骨軟骨炎であり2013年から保険適応となりました。これは、軟骨を少量採取し、4週間培養後、培養軟骨を移植する方法で軟骨欠損を再生させることが可能となりました。スポーツ診療班では、本邦で最初となる保険適応下自家培養軟骨移植の成績を報告しています。

軟骨再生治療




4.フィールドワークを中心とした野球肘検診

2010年から超音波を用いた北海道野球肘検診をはじめております。検診参加者数は2010年の144名から毎年徐々に増加し、2023年3月現在で延べ11,431人の検診を行っております。他地域にはない独創的な取り組みとしては、小児科の先生に協力をいただき心臓超音波も導入している点と、理学療法士の先生に可動域の調査やストレッチ指導を行っていただいている点です。心臓に生まれつき異常がある場合、野球に限らずスポーツをすることで突然命を落とす危険があります。しかし、そのような異常はたった一度の心臓超音波検査でリスクを回避することが可能です。これまでの検診で異常が無いことが確認された選手や、その保護者・指導者は安心してスポーツを行うことが可能となっております。これらの取り組みは、2022年度運動器の健康・日本賞を獲得し、全国的にも高い評価をされております。

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5.プロ野球選手を対象とした肩肘投球障害の研究

日本ハムファイターズが北海道に移転した2004年からチームドクターとして、選手のサポートを行っております。シーズンを通してホームゲームでの球場待機や緊急時の対応を行っております。また、毎年シーズンオフに行っているメディカルチェックでは様々な障害に対しMRI検査を含めた精密検査を行い、次のシーズンにむけた準備を行っておりました。当科の特徴的な取り組みとしては、2018年4月1日には北海道日本ハムファイターズと北海道大学病院が連携協定を結んでいることです。さらに、その関係は発展を続けており、2020年からは一括したメディカルチェックを行うことで、選手のサポート以外にも肩肘投球障害に関する研究も行っております。これらの取り組みにより得られた新しい知見は英文雑誌にも掲載され、世界的にも高く評価されております。

プロ野球選手を対象とした肩肘投球障害の研究


北海道大学病院スポーツ医学診療センター



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